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日々の風から 叶えられない祈り
日々の風から 叶えられない祈り
旧友Cさんが話し出した。心探られ自分のことのように傾聴した。
Cさんは、ある計画されていた集まりにT氏が来ることを知って、ひどく驚いた。遠方に転勤して久しいので、わざわざ東京までくることはないだろう。もしかたらこの世では二度と会うことはないだろうと思って、内心ホッとしていた。神様がT氏を遠くに去らせてくださったのだと密かに喜んでいた。
実は旧友CさんはT氏から陰湿な、いわばいじめに遭ってきた。中傷され、仕事の立場も脅かされた。今風に言えばパワハラだろう。私もうすうす知っていた。Cさんは愚痴めいたことは言わずひたすら耐えた。見事なほどよく忍耐して事を荒立てることはなかった。
しかし旧友Cさんは心の中ではT氏を快く思ってはいなかった。いやなことばかり思いだす。怒りもこみあげてくる。軽蔑し顔を背けたい思いなのだ。わだかまりは溶けずにそのままで、なくなることはなかった。決してゆるしていなかったと、Cさんは言う。
そのT氏と顔を合わせなければならない羽目になった。いまさら会に出ないとは言えない。 主催者側でもあった。担当の仕事もあった。抜けられないのだ。そこでCさんは神様に祈った。T氏が来ないようにと。神様はすべてをご存じなのだから、助けてくださるに違いない。なにかハプニングが起こってこられないようにならないものか、ぜひそうしてくださいと必死に祈ったそうである。当日の朝までその直前まで、神様の力を期待して祈り続けた。
どうかT氏が来ませんようにと祈っていたある時、コリント第一・13章の愛の章の一節が浮かんだ。『人がした悪を心に留めず』であった。T氏が自分にした数々の悪事は決して心から消えていない。思い出すと心が疼く。その悪を心に留めずとは、どういうことか。記憶が消えればいいのか。思い出さなければいいのか。しかし記憶は消せないし思い出すこともある。「心に留めず」とはどういうことか。祈るたびにその一句が飛び出してくるのだ。人のした悪を心に留めるのは主の愛に反し、主の喜ばないことなのだと、それだけはわかった。
日は経ち、時は進んで、当日になった。 突然、ふっと心が軽くなり、明るくなった。 ごく自然に迎えよう。笑顔で迎えよう、T氏が何と思っていようがいまいが、何事もなかったようにふるまい、話しをしようと心が決まったそうだ。ハプンニグは起きず、奇跡は起きず、旧友Cさんの祈りは叶えられず、T氏は元気で姿を現した。Cさんはにこやかに迎え、話を聞き、語り合ったそうだ。もともと喧嘩別れをしたわけではないから、言葉や態度で謝罪する事柄でもない。T氏は加害者だとは思っていないだろう、Cさんだけが心の中で被害者として悪意を抱きながら暗い重い闇を抱えていただけなのだ。
Cさんは「私の必死の祈りは応えられませんでした。叶えられませんでした。しかしT氏に会ってよかったです。長い間の闇が消え、T氏のしたひどいこともどうでもよくなってしまいました。小さくなって遠くへ遠くへ霞んでいきました。チクチクと疼いた痛みもありません。神様は私の祈りには直接応えられませんでしたが、今、落ち着いて考えると、私の願い以上のことをしてくださいました。T氏を受け入れる事ができ、T氏をいつまでも悪く思い続けた私の罪も赦し、平安を与えてくださいました。完全解決、完全勝利です。間違った祈りだったけど、祈ってよかったと思います。この経験は今年最高の恵みです。これ以上のクリスマスプレゼントはありません。神様に感謝するばかりです」そう言い切ったのだ。
「人のした悪を心に留めず」とは難しいことである。聖霊のお働きがなかったらとてもできることではない。神様はCさんにこの難題を突き付けた。しかしCさんは祈りの中で主の霊に教えられ、タッチされ、見事に難問をクリヤーした。主は満足の笑みをたたえながらCさんをご覧になっておられるだろう。「よくやった。私の小さなしもべよ」とのたまわりながら。
『わたしがあなたがたを愛したように、 あなたがたも互いに愛し合うこと、 これがわたしの戒めです』 ヨハネ15章11節
私たちが神を愛したのではなく 神が私たちを愛し、私たちの罪のために 宥めのささげ物としての御子を遣わされました。 ここに愛があるのです』。 ヨハネの手紙第一4章10節
2019.12.18 Wednesday 10:53
comment
隣人を愛するって、ほんとにむずかしい・・・
いいお話を感謝! From. のんびりハンナ 2019/12/20 09:57
コメント感謝します。「キリストに似た者になる」とはどういうことでしょうね。主の愛を覚えながら、心洗われるクリスマスをお迎えください。
From. ハンナさん 2019/12/21 10:43
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