人生の逆風の中で見つけた希望の風を、小説、エッセイ、童話、詩などで表現していきます。

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天の星のように―母エバから母マリヤまで 美しき姉妹たち
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旅の風から 金沢に吹く伝道の風  その4

旅の風から 金沢に吹く伝道の風  その4

北陸初のプロテスタント宣教・トマス・ウイン、イライザ宣教師夫妻

 

トマス・ウイン宣教師

 

イライザ・ウイン宣教師

 

当時、日本宣教師団を掌握していたのはジェームズ・ヘボン博士である。ヘボン師は1959年、日本が開国したと同時に来日して伝道と医療に従事したアメリカの宣教師。ヘボン式ローマ字を考案し、聖書和訳、聖書辞典の編纂にも先頭に立った。夫人の「ヘボン塾」開設にも尽力し、日本の女子教育がスタートした。この女子教育の場が、キダー宣教師に受け継がれ、そこに若松賤子が入塾した。

 

話が少しそれるが、私は胸を躍らせている。ウイン宣教師夫妻の書物にキダーさんが登場するからである。この春に『会津若松の火炎・若松賤子の生涯』をまとめたが、幼い賤子を知的、霊的に育てたのがキダー宣教師なのだ。キダーさんは、トマス・ウインの伯父サムエル・ブラウンとともに日本に遣わされてきた日本宣教の女性第一号の宣教師である。

 

さて、ウイン夫妻はヘボン博士の斡旋によって金沢へ行くことになった。ヘボン師のところへ「石川県中学師範学校」から教師派遣申請が来ていた。ヘボン師を中心とした在日宣教師団は会議を開き、ウイン宣教師夫妻とM・ツルー婦人宣教師を北陸に派遣することに決定した。私はここでも懐かしい名前を発見して目を瞠っている。M・ツルーは、かつて「矢島楫子」を調べていた時に出会った女性である。ツル―こそ、矢島楫子をキリストに導いた人であり、ツルーの係わった女子の学校は曲折を経て「女子学院」に発展していく。楫子は初代学院長であり、またなによりもかの婦人矯風会を組織し会頭として長く活躍した女傑である。

 

またまた脱線したが、トマス・イライザ夫妻とツルー師一行は1879年9月23日に横浜を出発した。いよいよ日本最初の北陸伝道のスタートである。ところが当時は新幹線どころか鉄道すらない。金沢へ入るまでの道のりは困難を極めた。ウイン夫妻は一歳の赤ん坊を連れていた。

 

横浜から船で神戸、頭から鉄道で京都の大谷まで、そこから人力車で大津まで、大津から琵琶湖の北端の塩津までは蒸気船で行った。ところが船は暴風雨に巻き込まれ、ようやく塩津に着いたのは横浜を経ってから5日目である。塩津から人力車、徒歩、籠で敦賀に着いた。敦賀から金石まで汽船に乗った。ところが今度は台風に遭い、伝道用の聖書、トラクト、食料品、衣類などすべてを失った。土砂降りの中を下船し、三時間人力車に揺られて金沢に入ったが、横浜を出てから12日経っていた。最初からこの困難である、記さずにはいられなかった。私はこの道を、快適な新幹線にゆったりと座し、熱々のコーヒーをすすりながらわずか二時間半でクリヤーしたのである。いまさらながらではあるが申し訳なくて顔があげられない思いになった。

 

数日後、学校での授業が始まった。トマス・ウイン師もツルー師も教師として働き出した。県令と面会した時、ウイン師ははっきりと言った。「教師としてきたのだから忠実に職務は果たすが、自分はもともとキリスト教の宣教師であるから伝道したい。公然と伝道することに当局は干渉を加えるでしょうか」と。県令は「干渉はしない。少しも差し支えない」と明言した。ウイン師は大いに喜び、さっそく伝道計画を立て、実行することになった。こうして「長町講義所」での活動が始まった。一同は北陸で初めてのプロテスタント礼拝をささげた。聖日礼拝を中心に毎晩伝道集会が開かれた。イライザ夫人、ツルー婦人宣教師たちは子どもへの「安息日学校」を開いた。伝道の風が勢いよく吹き始めた。(つづく)

 

旅の風から : comments(2) : - : kibounokaze :
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コメント
伝道の風が勢いよく吹き始める前に、サタンの仕業なのか、大津では暴風雨に遭い、敦賀→金石では伝道用の聖書やトラクトだけでなく食料や衣類まで失ってしまうほどの台風に見舞われ、大変だったのですね。
| サムサム | 2017/06/17 11:28 AM |
最初から大きな患難困難に出会って、さぞ、先が思いやられたことでしょう。しかし彼らは負けないのです。その信仰力、伝道熱には感動し、感謝するばかりです。見も知らない国へよくぞ来てくださいましたと、お礼を言いたいです。
| サムサムさんへ | 2017/06/21 7:24 AM |
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