光(キッズ)の風から 子ども読書感想文に奮闘

  • 2009.08.23 Sunday
  • 14:38
 

 学習指導をしている生徒や孫たちの読書感想文につきあわされている。夏休みの宿題である。

ふつう学習塾ではそこまではタッチしないのだが、父兄からの依頼で5年のNAちゃんに係わることになった。ついでだから、我が家の孫たちのもチェックすることにした。

 

指導するからには本そのものを知っておかねばならない。そこで3冊の児童書を読む羽目になった。その読書がひどく楽しかった。

 

『ヨハネスブルクへの旅』

 アパルトヘイト下で差別に苦しむ主人公とその家族、友人たちの物語である。子ども向けだが内容は深刻。姉とその弟が、はるかヨハネスブルクの白人屋敷ににメイドとして働く母親を訪ねるのだ。彼らは祖母と留守を守っているのだが、下の妹が重病になり今にも死にそうなる。近くには病院もないし、医者にかけるお金もない。ついに二人は母親を呼びに、徒歩でヨハネスブルクまでいくのである。そこで、奴隷のようにこき使われている母親を見る。うっかり白人専用のバスに乗ろうとして、罵声とともに引きずり下ろされ、はじめて差別を知る。二人を助けてくれた黒人の女性から、過去の暴動の話を聞かされる。

わずかな期間の休暇をもらった母親と家に帰り、妹を入院させる。どうにか危険を脱し退院できるが、劣悪な医療期間の様子、死んでいく子どもなど、凄惨な場面もある。

 

読んでいて、私の胸は大きく波立った。こんな非人道的なことがつい最近まであったのだ。いや、今だって見えないところで続いているのだろう。

 

ところが、そうした問題を知らない日本の子どもたちには、想像すら難しい。共感も、感情移入も遠い話である。まともな感想文が書けるわけがない。それでも、よく考えていくうちに感想が生まれる。今度はそれを自分のことばにして紙に綴っていくのだ。傍らで、私はひたすらじっと待った。骨の折れることだった。

 

とりあえず出てきたことばを書き付け、翌日また書き直し、3度目に清書してようやく完成した。たぶん、この作業を通してずいぶん成長したと思う。社会への目も開かれたろう。書いて、書き直して、清書するという忍耐のいる作業の苦しさも味わっただろう、そしてついに完成した喜びや満足感も、すばらしい体験になったことだろう。

 

『12歳たちの伝説』

著名な児童文学者後藤竜二の作品である。これにも私はのめり込んだ。

『学級崩壊』をさせる問題児とそのクラスの子どもたち、そのクラスをついに変える偉大な教師の物語である。

 

内容もさりながら、私は作家の力量に感嘆した。多少、文章を書く者として、時に児童文学にも挑戦する者として、鏡のように手本にするべき作家であり作品であると思った。さっそく学び合っている仲間たちに知らせて、次の会合に取り上げたいと熱く迫られた。

 

『オズの魔法使い』

知らない人のいない名作中の名作。しかし、これを感想文にするのはかなり難しい。これも汗を流した。

 

こうして、私はくたくたになった。作文指導は難しい。その他の教科ならここまで苦労はしない。子どもたちもそれなりにやりこなせる。おそらく、私がこんなに手こずったのは、ふだん、学校ではあまりしていないからではないだろうか。要するに慣れていないのだ。訓練されていないのだ。それを、夏休みの宿題にするとはどういうことかと考えてしまった。

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  • 2020.05.31 Sunday
  • 14:38
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    コメント
    高2の孫娘も只今、感想文に取り組んでいます。
    それがなんと、「カラマーゾフの兄弟」なのです。亀山訳です。
    母親の薦めといいますが、びっくりしました。

    息子曰く、ガリ勉の学校に入ったけれど、進学を私立文系と決めたらゆとりが出来た。
    • 美雨
    • 2009/08/24 11:33 AM
    カラマ…の感想文ですか。それは難題ですね。でも美雨さまのおまごちゃまならやり遂げるでしょう。
    • 美雨さまへ
    • 2009/08/24 1:52 PM
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